寝袋の温度評価について
スリーピングバッグ選びガイド
キャンプやバックパッキングのために寝袋を選び、屋外で暖かい夜を過ごすためには、最も重要な要素である寝袋の温度評価を考慮する必要があります。
過去には、さまざまなブランドが一貫性のない条件下で独自のテストに基づいて温度評価を決定していました。しかし、2002年にEN 13537規格が導入され、その後ISO EN 23537規格に拡大されたことで、寝袋の性能を世界規模で客観的に比較することが可能になりました。
ISO EN 23537は、寝袋の温度評価を決定するための世界的な標準です。この規格は、寝袋が提供できるさまざまな温度範囲を3つの主要な指標に分類します:
1. コンフォート温度
- 標準サイズの女性がリラックスした姿勢で寒さを感じずに快適に眠れる温度。
2. リミット温度
- 標準サイズの男性が寒さを感じて目を覚ますことなく、丸まった姿勢で8時間眠れる温度。
3. エクストリーム温度
- 標準サイズの女性が低体温症による死亡のリスクなしに6時間耐えられる最低温度。
これらのテストは通常、ノルウェーのThelma AS、ドイツのHohenstein Research Institute、米国のEnvironmental Research Instituteなどの独立した専門機関によって実施されます。テストでは、熱マネキンとセンサーを使用して人体の熱放散をシミュレートします。マネキンを34度に加熱し、マネキンの各部分の温度を維持するために必要な熱エネルギーを測定し、熱抵抗値によって提供される温度表に基づいて値を外挿します。
ただし、EN 23537規格は世界的に広く受け入れられているものの、業界標準であり法的拘束力はありません。「EN 23537に基づく温度テスト済み」や「EN 23537評価温度」といった用語に出会うことがありますが、前者は独立したテストを意味し、後者はメーカーが自己テストと計算を行ったことを示します。後者の選択が必ずしも品質が劣ることを意味するわけではないことを理解することが重要です。
個々の体温調節、使用環境、追加装備(例:スリーピングパッド、衣類)などの要素も寝袋の効果に影響を与える可能性があるため、寝袋を選ぶ際にはこれらの要素を考慮することが推奨されます。